街で視覚障害者を見かけたら?

更新

ガイドの必要性

視覚障害者のホームからの転落事故の報道を、耳にしたことがある方は多いでしょう。幸い、大きな事故に至らなくても、多くの視覚障害者がホームや工事現場で転落を経験しています。
毎日、歩き慣れた通学や通勤の道でも、その日の体調で集中力が落ちたり、雨や風・雪などの天候の変化などで、ふとしたはずみで判断を誤ることもあります。
刻一刻と状況が変わるめまぐるしい社会では、ガイドと歩くことが視覚障害者にとって、もっとも安全で確実な移動の方法なのです。
出発から目的地までのガイドは必要なくても、ホームや横断歩道、工事現場などで、晴眼者の声と手があれば、重大な事故は避けられるのです。
視覚に障害があることの不自由さを知った上で、街で白杖(はくじょう)を持った人に出会ったときには、積極的に声をかけて不自由を補う手助けをすることをこころがけましょう。

声をかけることから

街で白杖を持って歩いている人に出会ったとき、声をかけようか・・・とためらっているうちに、タイミングを逸してしまう経験をしたことのある人は多いでしょう。
街の中を迷わずに歩いている視覚障害者なら、ガイドを必要としないでしょうが、立ち止まって困っている様子だったり、行く方向を迷っている様子だったら、勇気を持って声をかけましょう。
できれば、斜め前方から近づき、「何かお困りですか?」「どちらに行かれますか?」「お手伝いしましょうか?」などと声をかけます。
一度声をかけただけでは、自分に声をかけられたことに気付かないかもしれません。
そのようなときは、軽く手をふれるようにしてもう一度声をかけます。事情があって、断られたりしたときには、不愉快に思わないで、次の機会にまた声をかけてください。
工事中だったり、駅のホームや、車が前に止まっていたりしたときにはためらわずに、声をかけましょう。
そのとき、「あぶない!」と離れたところから叫ぶのは、声をかけられた相手が自分のことと思わなかったり、かえって驚いたりして危険です。
急いで近づき、「前に○○がありますよ」「工事中ですよ」と軽く身体に触れて動きを止めてから、危険を回避するように、ガイドします。
相手の意思を確かめずに突然、白杖をつかんだり、持ってひっぱったりすることは絶対にやめましょう。

ガイドの基本姿勢

下におろした自分の肘の少し上あたりを視覚障害者に握ってもらい、半歩先を歩きます(肩に手を置いてもらう方法もあります)。
歩くときは、二人分の幅を意識して歩きます。また、相手の背の高さにも注意して、突き出た看板などにぶつからないように歩きます。
歩く速度は相手にあわせ、水たまりなどの路面の変化にも気を付けます。
階段や段差の手前では一度止まって「上り階段です」「下り階段です」などと、声をかけてから上ります(または、下ります)。
また、ことばで説明するときには、「そこ、ここ、あっち、こっち」では、どこに行ったらいいのか分かりませんので、必ず「前、後ろ、右、左」「何メートルくらい前」のように、具体的に話します。
ガイドは、安全にそして自然に、目の代わりをすることが、もっとも大切です。
相手の後ろからかかえこんだり、押したり、また前にひっぱることは大変危険なので、絶対にやめましょう。

特にガイドが必要とされる場所

横断歩道

最近では音響式信号機が設置されているところが多くなりましたが、そうでない所では、信号の変わり目に「青ですよ」「一緒に渡りましょうか」などと声をかけます。横断歩道には点字ブロックがないので、斜めに渡ってしまって車道にはみだすこともあります。

駅のホーム

駅のホームではたくさんある柱をよけたり、混みあう乗客を避けて方向を見失い、ホームから転落する危険性があります。
黄色い点字ブロックは、目にはとてもはっきりと見えますが、30センチの幅しかありませんから、その直前に足を下ろすと、次の1歩は点字ブロックをまたいでしまうことになります。
駅で白い杖を持った視覚障害者を見かけたら、声をかけてガイドしましょう。

工事現場

道路工事などの現場では、今までない所に穴があったり、柵が置かれていたり、ブロックがはがされていることがあります。
また、大きな音のために、耳によって回りの情報を得ることができません。特に工事の係員がいないときはとても危険ですから、声をかけましょう。

バスや電車

バス停で待っていても車外アナウンスが聞こえなかったり、何台もバスが続いたときに、自分の乗るバスが分からない場合があります。バスの行き先を伝えるか、視覚障害者の乗るバスを聞いて教えてあげてください。また、電車やバスの中で空席があっても分かりませんので、声をかけて、相手が希望すれば座席まで案内してください。

ガイドが終わったら

視覚障害者と別れたり、話し合いの場から席をはずすときには、黙って離れないで必ず声をかけるようにしましょう。
横断歩道や工事中のところでガイドをし、別れる場合、かならず、進行方向を確認し、周囲の状況を説明するようにします。向かい合ってお礼を言っているうちに、方向を失ってしまう場合もあります。別れたあとも、少しの間、相手の安全を確かめるようにしましょう。
ガイドは、安全に気を付け、相手の目の代わりをすればよいのです。 街で、困っている視覚障害者に出会ったら、ためらわず、気軽に声をかけましょう。
ガイドは、とっさのときこそ必要です。数少ない専門家がいくらがんばっても、そのとき、その場にいなければ、手や肩を貸すことはできません。
わたしたち、一人、一人がガイドボランティアです!

ガイドに関するテキスト

全視情協ではガイドに関するテキストを販売しています。

初めてのガイド
初めてのガイド(DVD版)