視覚障害者は、全国に約30万人いると言われています。しかし、その見え方や、見えにくさはさまざまです。“視覚障害”をもっと知り、不自由さを少なくするために、わたしたちができるサポートを考えましょう。
わたしたちは、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚などによって、必要な情報を得ていますが、そのうちの80%以上は、目から(視覚)の情報だと言われています。
その視覚に障害があると、日常生活にずいぶん不便・不自由が生じますが、多くの視覚障害者は、自らの努力と工夫、そして不便さを補う機器類や周囲の人のサポートによって、自立した生活を送っています。
また、わたしたちの社会は、性別・年齢・職業・性格などのさまざまな人がいて、個性を持って成り立っています。同じように、視覚障害者にも、このような違いがあります。それに加えて、視覚障害になった時期、視覚障害の原因、見え方、見えにくさの違いなどは、千差万別です。「視覚障害者」という特別な人がいるわけではありません。
視覚障害者と晴眼者(せいがんしゃ、視覚に障害がない人)の違いは、目が不自由か、不自由でないかということだけで、それ以外は、「個性」であるということを、最初に知っておきましょう。
視覚障害者の数
視覚障害者は全国で31万人で、身体障害者(視覚障害・聴覚言語障害・肢体不自由・内部障害)全体の8.9%であると推計されています。
このうち、60歳以上が全体の70.6%で、高齢化が進んでいます。(数字は、平成18年7月1日現在、以下同じ)
視覚障害者の定義
視覚には、視力(ものの形がわかる)、視野(目を動かさないで見える範囲)、光覚(光を感じる)、色覚(色を感じる)、屈折(網膜に見たものを映す)など、さまざまな機能がありますが、そのうち、視力・視野のどちらか、または両方の機能が十分でないため、眼鏡やコンタクトレンズなどを使用しても、見え方がよくならない状態を視覚障害といいます。
見えにくさの程度
「視覚障害者」=「全く見えない人」ではありません。見え方や、見えにくさは、人によって様々です。
光を全く感じない(全盲)の人もいますが、光の明暗がわかる、動きがぼんやり見える、大きな文字なら読むことができるという人もいます。
見える範囲(視野)も、周辺が見えにくい、中心部が暗転してみえない、視野の一部が欠けているという人もいます。
明るさによっても見え方が異なり、あまり明るいとまぶしくて見えにくい人もいます。
全盲の人に対して、少しでも見える人を、弱視(ロービジョン)といいます。弱視の人の見え方は、上にも書いたように実に様々です。そして、見え方を正しく人に伝えることも大変困難です。天候や環境、体調によって左右されることも多いのです。
また、最近では、生まれたときから、あるいは小さいころからの視覚障害者より、病気(糖尿病、網膜色素変性症、緑内障など)やけがなどで視覚障害になった中途視覚障害者の方が多くなりました。
視覚障害には、いろいろな見え方、見えにくさの人がいて、弱視の人にも、段差や障害物につまずきやすい、色が分かりにくい、二重に見えるなど、日常生活の不便がたくさんあることを知ってください。
より便利に、より豊かに ~いろいろな社会資源~
視覚に障害があっても、自身の工夫や努力で社会生活を送っている人がほとんどです。しかし、中高年になってから病気や事故で、目が不自由になった場合は、身辺の処理や家庭生活、買物、銀行など、日常生活の些細なことにも不自由を感じることが多くなります。これらのことは、社会生活を営んでいく上で必要不可欠なことですので、視覚障害者のリハビリセンターなどで訓練を受け、その上で職場復帰をはかったりすることも必要になります。
また、視覚障害者にとっては、情報収集と移動・歩行が、もっとも不自由だといわれています。その不自由を補うために、点字・音声・拡大文字、白杖・盲導犬・点字ブロックなどがありますが、周囲の人のサポートも必要となってきます。
最近、視覚障害者が日常生活を送る上で、工夫された道具類や、便利な機器類もたくさん出回るようになりました。
これらの道具や機器類を上手に使いこなして、そしてそれ以上に、手触りや音、そして経験から上手に工夫して、生活を豊かに楽しんでいる多くの視覚障害者がいます。
もっと詳しく知りたい方は、お近くの全視情協加盟施設・団体にお問い合わせください。