特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会 (全視情協) 2022年度 事業報告 (以下、本文中は敬称略としています) T 概括  2022年度は、「運営体制の強化とサピエのさらなる発展」をテーマに、以下の3点を重点事業として進めた。  1.読書バリアフリー法「基本計画」の推進  2.運営体制の強化とコロナ禍における諸活動の展開  3.島根あさひ事業所の安定的運営  当協会の会員施設・団体においては、コロナ禍の影響により、図書製作とサービス提供、ボランティア活動などに多大な困難と制約を強いられてきた。そのような逆風の中、読書バリアフリー法基本計画の3年目を迎え、当協会のサピエ運営費に対する厚生労働省の補助金の大幅な増額が実現した。  当協会では、これを機に、事務局職員3人の雇用と事務所の独立を実施し、これまで主に会員施設・団体スタッフによるボランティア的な取り組みで維持してきた運営体制を強化し、サピエの安定的運営のための基盤体制を固めることができた。これまで長年の懸案だった2千数百万円に及ぶ個人利用者への協力金の要請を不要とすることができ、サピエの全個人会員へ向け、経過説明を掲載したこれまでのご協力に対するお礼状を発送した。  各事業では、前年度に着手した新しい情報提供サイト「シカクの窓」を構築し、災害支援や福祉関係情報等を発信できる枠組みづくりを進めた。また、「サピエ」の利用者拡大へ向け、サピエの広報用動画の公開(ウェブ配信)とその広報、及び会員施設・団体の協力を得て、地域の公共図書館や関係団体を対象としたサピエ利用のための研修を新規に実施した。さらに、ICT弱者が使いやすいAIスピーカーのスキル開発に向け、仕様固めを行った。  研修では、コロナ禍で加盟施設・団体職員が集まることが難しいなか、オンライン(Zoom使用)やハイブリッド方式による大会、研修等の開催が一つの方式として確立し、全国から多くの参加をいただくことができた。  関係団体との連携については、参加する施設・団体の多くが重複している日本盲人社会福祉施設協議会・情報サービス部会の事業への協力を行い、音訳指導員(資格認定)講習会のブロック開催が実現した。同試験もオンラインで実施した。 U 大会、総会、理事会、その他会議の開催 1 大会 【 第47回全国視覚障害者情報提供施設大会】  期日:10月12日(水)〜13日(木)、18日(火)、19日(水)  会場:玉水記念館(大阪市西区)     ※ 会場参加と、Zoomによるオンライン参加の併用  テーマ:「コロナ禍にあっても、サピエのさらなる普及と充実を目指して」  主管:全視情協事務局  後援:厚生労働省、文部科学省     社会福祉法人日本視覚障害者団体連合、     社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会、全国盲学校長会、     公益社団法人日本図書館協会、公益財団法人鉄道弘済会、     特定非営利活動法人全国聴覚障害者情報提供施設協議会  協賛:毎日新聞社点字毎日  内容:全体会1「読書から誰ひとり取り残さないバリアフリーの図書館を目指して     〜点字図書館・公共図書館の実践は今〜」     全体会2「視覚障害者が必要とする情報をいかに届けるか〜点字文化の価値を     改めて考える〜」     講演(行政報告、等)(厚生労働省)     録音担当者向け研修会「製作基準改訂、ここがポイント!」(オンラインのみ)     電子書籍担当者向け研修会「“アクセシブルな電子書籍”テキストデイジー製作の手順について」(オンラインのみ)  参加者:111施設・団体、392名  概要:  大阪市内の会場とZoom参加によるハイブリッド方式で開催した。  2019年成立・施行の「読書バリアフリー法」により、視覚障害者等の読書環境の整備の推進について、公共図書館と視覚障害者情報提供施設の連携やICTサポートセンターでの情報機器の利用支援などの取り組みが行われているが、地域間の格差も大きく全国的には十分とは言えない。全体会1では、二つの調査報告の分析や地域の好事例の発表などから、現在の情報提供施設を取り巻く課題を共有した。全体会2では、点字の持つ価値を「利用・製作・提供」のそれぞれの視点による発表をもとに確認し、今後の読書バリアフリー時代のあり方について考える機会を持った。また、大会日程の後半に2つの専門研修会をオンラインで実施し、サピエ図書館の図書製作基準や手順書の詳細な解説を各地の担当者に向けて行い、製作図書データの質の向上を図った。  関連事項:  全体会2アンケート「点字図書・点字資料利用拡大のための工夫について」を実施し、報告書を会員施設・団体に共有した。  全体会2報告書「視覚障害者が必要とする情報をいかに届けるか〜点字文化の価値を改めて考える〜」をまとめ、一般公開した。 大会宣言  読書バリアフリー法施行から4年目となる今年度、サピエの運営費に対する厚生労働省の補助金が大幅に増額され、しかも初めて当協会へ直接補助されることになった。これにより、前年度末に行われたサピエ図書館システムのサーバ増強に加えて、サピエの安定的な運営基盤が整った。この補助金を元に、当協会では今年度、事務局員の新規採用と独立した事務所の開設をはじめ、サピエ図書館の広報の強化、公共図書館等に対するサピエ図書館の研修会の開催、視覚障害者等に図書以外の有用な情報を提供する新ホームページの開設、サピエ図書館用AIスピーカースキルの開発などに取り組み、「情報共有社会」、すなわちすべての人が等しく情報を共有できる社会の実現に向けて全力を挙げている。  一方、読書バリアフリー法の具体化に向けては、地方自治体における読書バリアフリー計画の策定、出版者や学校図書館等による協議会の開催などが行われているものの、公共図書館等による障害者サービス、出版者によるアクセシブルな電子書籍等の販売、視覚障害者等に対するICTの利用支援、点訳・音訳ボランティア等の養成・活動支援などにおいて、顕著な成果が挙がっているとは言えないのが現状である。  このような中、当協会では、大阪で第47回全国大会を開催し、点字図書館や公共図書館、ボランティア団体など110を超える施設・団体から、オンラインと会場参加を合わせて400名近くの職員やボランティアの参加を得た。大会では、厚生労働省による「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」に関する講演をはじめ、全体会1「読書から誰ひとり取り残さないバリアフリーの図書館を目指して〜点字図書館・公共図書館の実践は今」と、全体会2「視覚障害者が必要とする情報をいかに届けるか〜点字文化の価値を改めて考える」を実施し、さまざまな取り組みの報告と問題提起が行われ、活発な議論が交わされた。また、日をあらためて録音担当者と電子書籍担当者の専門研修会も行い、最新情報の交換と専門技術の研修を行う予定である。  当協会は、今大会を機に、厚生労働省や文部科学省をはじめ、日本視覚障害者団体連合や日本盲人社会福祉施設協議会、日本図書館協会などとの連携の下、視覚障害者をはじめすべての人が等しく情報を共有できる社会の実現を目指し、サピエを中心とする図書製作と情報提供サービスの向上にさらに邁進することを宣言して、以下の要望を決議する。 大会決議 一 「読書バリアフリー法」(視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律)と同法「基本計画」(2020年〜2024年の5ヶ年計画)に基づき、厚生労働省と文部科学省をはじめとする関係省庁に対し、@サピエの運営支援、A特定書籍及び特定電子書籍等の製作支援、B視覚障害者等の端末機器の入手と情報通信技術の習得、並 びに端末機器等の研究開発の支援を強化することを要望する。また、経済産業省と出版者に対し、@アクセシブルな電子書籍等の販売、A書籍を購入した視覚障害者等に対する電磁的記録の提供、B特定書籍又は特定電子書籍等の製作を行う者に対する電磁的記録の提供を推進することを要望する。 一 全国の都道府県・市区町村に対し、読書バリアフリー計画の策定を進め、公共図書館や学校図書館等のサピエへの加入を促すとともに、視覚障害者の点字図書館の利用条件に障害者手帳の所持を定めている一部自治体の規定の改正を要望する。 一 高齢化と漸減が進む点訳・音訳ボランティアの養成を強化するため、国に対し、「身体障害者社会参加支援施設の設備及び運営に関する基準」において「校正員又は音声訳指導員 1以上」とされている職員配置基準を「各1以上」に改めるとともに、障害者総合支援法において都道府県・市町村の「任意事業」に留められている「点訳・朗読奉仕員等養成研修」事業を「必須事業」に改めることを要望する。  以上、宣言・決議する。                    2022年10月13日                    第47回全国視覚障害者情報提供施設大会 2 総会 1.通常総会  日時:2022年6月24日(水)13時〜14時45分  会場:日本ライトハウス情報文化センター(Zoom接続)    (大阪市西区江戸堀1―13−2)  方式:来場参加、Zoomによるオンライン参加、書面議決書、委任状  出席施設・団体数:当日58(出席者67名)(Zoom接続含む)、           書面議決書 11、委任状提出 11 合計80 議案:1.2021年度事業報告、決算(補正予算報告含む)、監査について     2. 役員(理事)の交代について     3. 2022年度事業計画(案)、予算(案)について     4. 全国大会(山形大会)について 2.臨時総会  第1回(メール総会)   議案:理事の交代について   回答期間:9月9日〜9月17日  第2回(メール総会)   議案:第47回全国大会の宣言・決議について   回答期間:9月27日〜10月4日  第3回(メール総会)   議案:2023〜2024年度役員等(理事・監事・顧問)について   回答期間:2023年3月24日〜3月30日 3 理事会  第1回 日時:6月3日(金)13時〜15時      方式:Zoomを使ったオンライン会議  第2回 日時:12月20日(火)10時〜12時      方式:Zoomを使ったオンライン会議  第3回 日時:2023年3月23日(木)10時〜12時      方式:Zoomを使ったオンライン会議  ※このほかにメール理事会を4回開催した。 4 その他の会議 1.常任理事会(理事長、副理事長を含む6名の理事で構成)     オンラインで6回開催 2.企画会議(常任理事会メンバーに各専門委員会委員長が加わる)     オンラインで2回開催 3.その他 そのほか、日常的にそれぞれのメーリングリストを活用して情報共有と意見交換を行った。 V 研修会 1 新任管理者研修会  日時:6月16日(木)10時〜16時  方式:Zoomを使ったオンライン研修(ライブのみ)  参加者:34施設・団体、45名  内容:講義1「視覚障害者情報提供事業の歩みと法制度」         竹下 亘(全視情協理事長、日本ライトハウス情報文化センター 館長)     講義2「全視情協について」         正井 和子(全視情協事務局長)     講義3「視覚障害者情報提供事業と著作権法、郵便法」         平井 利依子(全視情協サービス委員会著作権プロジェクト委員、               ロゴス点字図書館 図書製作部・図書館サービス部 部長) 2 施設・団体長研修会  日時:6月24日(金)15時〜16時  方式:Zoomを使ったオンライン講演会(後日会員施設・団体向けにウェブ配信)  参加者:67名  題目・講師:「“点字図書館”とは何か、その探求 〜私の研究室から〜」立花 明彦(日本点字図書館 館長) 3 サピエ研修会  新型コロナの影響のため、Zoomによるオンラインでの研修会を開催した。   日時:7月7日(木)11時〜17時   方式:Zoomを使ったオンライン研修会(講演1のみ後日ウェブ配信)   参加者:168施設・団体、332名   内容: 1.公共図書館のみなさまへ「図書館の障害者サービスとサピエの活用」 2.開会挨拶 3.講演1 「読書バリアフリーとサピエの今後の目標− 視覚障害者「等」の利用拡大、AIスピーカーによるサピエ利用の取り組みなど」 4.講演2 「資料製作等の全国調査から見えてきた、点字図書館・公共図書館・学校図書館 (盲学校)・大学図書館の現状と課題」 5.サピエシステムや技術的なお知らせ 6.委員会や事務局からのお知らせ・質疑 7.ネット責任者のみなさまへ 4 音訳指導員養成講習会(日本盲人社会福祉施設協議会情報サービス部会との共催) 1.音訳指導員養成講習会 ブロックごとに開催した(中部ブロック未開催)。 受講者合計147 名 @ 東北・新潟・北海道ブロック(開催地:宮城県)11月7日(月)〜8日(火)33名 A 関東ブロック(東京都)11月9日(水)〜10日(木) 36名 B 近畿ブロック(大阪府)11月16日(水)〜17日(木) 33名 C 九州ブロック(オンライン)11月24日(木)〜25日(金) 29名 D 中国四国ブロック(オンライン)12月1日(木)〜2日(金) 16名 2.令和4年度第16回音訳指導員認定試験 日時:2023 年1月20日(金) 方式:Zoomを使ったオンライン試験 受験者:90名 試験合格(資格認定)者:50名 5 シネマ・デイジー製作担当者向け講習会 日時:12月8日(木)(オンライン開催) 方式:Zoomを使ったオンライン研修会 参加者:15施設・団体、63名 内容: 1.使用ソフトウェアの実演 2.枠アナウンス、書誌マニュアル、着手登録について 3.ミニスキルアップ講習会「音声解説製作の監修について」 4.製作施設情報交換 W 主な事業 1 サピエ 1. サピエの改修について(システム管理) (1) HTML5及び、PC-TalkerNeoによるEdge、Chromeの読み上げ対応改修(8月31日) (2) サピエ図書館と国会図書館の連携処理の仕様変更改修(12月1日) (3) サピエ事務局限定使用機能改修(3月20日〜24日) (4) DNSサーバ及び、ネットワーク周辺機器リプレイス(3月20日〜24日) 2.サピエ研修会 (p.6 V‐3サピエ研修会 参照) 3.サピエ運営委員会   日時:2023年3月17日(金)10時〜12時   方式:Zoomを使ったオンライン会議   出席者(順不同):    日本視覚障害者団体連合・吉泉 豊晴 氏    日本弱視者ネットワーク・白井 夕子 氏    DPI日本会議・見形 信子 氏(メール参加)    日本図書館協会 障害者サービス委員会・佐藤 聖一 氏    日本盲人社会福祉施設協議会 情報サービス部会・岡本 博美 氏    国立国会図書館関西館・本田 麻衣子 氏    厚生労働省・奥出 吉規 氏、大江 翔 氏、渡邊 美華 氏    日本点字図書館・勢木 一功    全視情協・竹下 亘、川崎 弘、西村 浩生、正井 和子、浅野 歩、倉田 和代   議題:    1.趣旨説明    2.報告:サピエの現状     (1)サピエの利用状況の推移     (2) 2023年3月のシステム・メンテナンスの概要     (3)2023年度事業計画     (4)サピエ事業の収支    3.協議:質問、サピエに対する意見・要望 4.サピエの状況(2023年3月31日現在) 1. 会員数(カッコ内は前年度からの増加数)    施設・団体      459(22)      点字図書館     86(0)   公共図書館  255(21)      大学図書館 9(1)   盲学校 32(2)      ボランティア団体 47(-1)   その他 30(-1)        個人会員 19,951名(695)      視覚障害者個人(A会員)         19,253(600)      視覚障害以外で読みに困難のある人(B会員) 698(95) 2.目録(書誌)数・コンテンツ数(タイトル)(カッコ内は前年度からの増加数)      総目録数:808,802タイトル(17,805)      コンテンツ数: 点字データ:253,223(10,577) 音声デイジー:116,920(7,479)(内シネマ・デイジー:780(107)) テキストデイジー:14,085(1,700) マルチメディアデイジー:431(37)      ダウンロード数: 点字データ:471,177 音声デイジー:4,320,850(内シネマ・デイジー:163,542) テキストデイジー:264,750 マルチメディアデイジー:6,506 3.地域・生活情報、図書製作支援システム      年間アクセス数 地域・生活情報     57,360 図書製作支援システム  83,213 4.施設・団体の動向 (1)新規入会施設・団体 1.駒ケ根市立図書館(長野県) 2.糸島市立図書館(福岡県) 3.国際基督教大学図書館(東京都) 4.沖縄県立沖縄盲学校(沖縄県) 5.静岡県立沼津視覚特別支援学校 (静岡県) 6.里庄町立図書館(岡山県) 7.古平町図書館(北海道) 8.北斗市立図書館(北海道) 9.香南市野市図書館(高知県) 10.静岡県立中央図書館(静岡県) 11.摂津市民図書館(大阪府) 12.香美市立図書館(高知県) 13.萩市立萩図書館(山口県) 14.大分市民図書館(大分県) 15.高砂市立図書館(兵庫県) 16.和歌山県立図書館(和歌山県) 17.須賀川市中央図書館(福島県) 18.黒石市立図書館(青森県) 19.鳥取市立中央図書館(鳥取県) 20.下関市立中央図書館(山口県) 21.南部町立法勝寺図書館(鳥取県) 22.糸島市図書館二丈館(福岡県) 23.糸島市図書館志摩館(福岡県) 24.おおぶ文化交流の杜図書館 (愛知県) (2)種別変更施設・団体 1.宮城県図書館 2.ロゴス点字図書館 3.小樽市点字図書館 (3)退会施設・団体 1.社会福祉法人信愛福祉協会  点字出版部 2.点訳なのはな 5.広報活動 (1)サピエPR動画の公開及びPR動画広報用チラシの製作と発送  6月24日、全視情協ホームページに、サピエPR動画を公開した。7月には、このPR動画を広報するチラシ「サピエ図書館で読書を楽しみましょう」を、全国の公共図書館(3,295館)、全視情協加盟施設・団体、視覚支援学校(67校)、関係機関・団体へ配布した。また、全視情協ホームページからチラシのPDFデータをダウンロードできるよう、データ公開した。 (2)地域の公共図書館に対するサピエ研修会事業  サピエの普及を図るため、全視情協加盟施設(点字図書館)が行う、公共図書館に対するサピエの説明・実演研修に助成した。   7道県、11か所で開催。参加者は53館・団体、246名。  1.北海点字図書館  実施日:11月16日(水)  会場:帯広市図書館  参加者:6館、9名  内容:視覚障害当事者の現状、サピエの概要、サピエ図書館の使い方、質疑応答  2.新潟県視覚障害者情報センター  実施日:10月13日 (木)  会場:新発田市立中央図書館  参加者:1館、10名 (助成対象外だが、6月・7月に計8館16名への研修会を実施) 内容:サピエ図書館の紹介、録音図書再生機の使用方法、スマホ・タブレットの使用方法、実際の窓口対応のポイント(演習)  3.視覚障害者総合支援センターちば  実施日:2023 年3月1日(水)  会場:視覚障害者総合支援センターちば  参加者:6館、6名 内容:サピエ図書館・点字図書館のサービスについて、視覚障害当事者のサピエ活用について(実演)、サピエの使い方(実技)  4.視覚障害者生活情報センターぎふ  実施日・会場・参加者: @ 9月2日(金) 各務原市立中央図書館 25名 A 9月30日(金) 瑞穂市図書館 13名 B 2023 年1月31日(火) 瑞浪市民図書館 12名 C 2023 年2月28日(火) 北方町立図書館 6名 D 2023 年3月6日(月) 関市立図書館 30名 内容:読書バリアフリーを実施するにあたって、サピエ図書館について(体験・ 実習)、サピエ図書館で利用できる資料について(点字・拡大文字資料・音声・電子書籍)  5.静岡県視覚障害者情報支援センター  実施日:2023 年2月17日(金)  会場:静岡県教育会館  参加者:20館、22名  内容:サピエ図書館の意義(講義)、オンラインサービス運用編(実習)、  サピエ利用の実際(実習)、質疑応答  6.長崎県視覚障害者情報センター  実施日:2023 年2月6日(月)  会場:ミライON 図書館(長崎県大村市)  参加者:10館・団体、現地参加29名・WEB参加74名  内容:「サピエ図書館を活用した情報提供サービス できることからはじめる」、  サピエ図書館のシステム、機器の取扱(実技・体験)、機器展示  7.都城市点字図書館  実施日:2023 年2月10日(金)  会場:都城市点字図書館、市福祉センター  参加者:5館・団体、10名  内容:視覚障害者の理解について、私の読書スタイル(当事者のサピエ利用法)、  サピエや各種デイジー等について(実技含む) 6.情報提供サイト「シカクの窓」  サピエ停止時等にも、災害情報や公的情報のアクセシブルデータなど、視覚障害者の命と生活を守る情報を途絶させないために、新たに立ち上げるサイト「シカクの窓」の枠組みの準備、構築を進めた。 7.対話型AIスピーカースキル開発  スマートフォンやパソコンによるサピエの操作が困難な方などがAIスピーカーを使い、サピエ図書館を利用できる、簡単明解な専用スキル(アプリ)を開発するため、仕様の編成を行った。 8.AE業務  支援技術開発機構(ATDO)の協力を得て、マラケシュ条約における日本のAE(Authorized Entity)業務の一環として、海外に提供するサピエの音声デイジー図書について、ABC(ABC Global Book Service)のオンラインカタログへの書誌登録作業を進めた。書誌4,190件の登録準備を完了した。 9.サピエ協力金  2022年度から国庫助成が得られるようになり、「サピエ協力金」のお願いを中止した。中止のお知らせをするまでに、66名の方から総額359,022円のご寄付をいただいた。 2 島根あさひ事業 1.島根あさひ社会復帰促進センターにおける「点字翻訳科」「音訳科」職業訓練の受託  2008年10月に官民協働のPFI方式を活用した刑務所として運営を開始した、島根あさひ社会復帰促進センターにおいて、社会貢献科目の職業訓練として点字翻訳科、音訳科の訓練を担当している。  訓練生は、点訳・音訳の基礎知識を習得した後に、図書製作等の作業を行っている。全視情協加盟施設・団体からの依頼による各種作業を行うことで視覚障害者への情報サービスにも貢献している。誘導歩行の体験や実際に利用者の講話を聞く機会もあり、視覚障害者への理解を深めている。1年間の講義終了時には、訓練生に全視情協理事長名で受講証を交付している。  また、施設から訓練生に対して心温まる「お礼状」を送っていただき感謝している。訓練生は自分たちの作業が視覚障害者の皆さんに役立っていると実感し、モチベーションアップに繋がっているので引き続きよろしくお願いしたい。  今年度は、点字翻訳科14期生が製作した点字図書「介助犬を育てる少女たちー荒れた心の扉を開くドッグ・プログラム」他3タイトル、音訳科24期生が製作したテキストデイジー図書「だから僕は練習する 天才たちに近づくための挑戦」他3タイトルを島根あさひ事業所名でサピエにアップすることができた。25期生は「ただいま100歳―今からでも遅くはない」他2タイトルを製作した。これらは今後サピエにアップする予定である。  なお、島根あさひ事業は、2025年度末までこれまでと同様に作業を行うので、全視情協加盟施設・団体の作業依頼を引き続きよろしくお願いしたい。 2.地域との交流  地域で開催される「旭ふる里まつり(矯正展)」に参加し全視情協の活動について広報していたが、今年度は諸般の事情により参加を見送った。地域の作業ボランティアの協力を得て島根あさひ事業所の一部の作業を行うことができた。 3.「点字毎日」のデータ化  点字翻訳科の訓練生が社会貢献事業の一環として「点字毎日」創刊号からの貴重な資料を点字データ化する作業に取り組んでいる。現在、1390号までのデータ化が進んでいる。また、これを完成データとするため全視情協事務局ではボランティアの協力を得ながら校正作業を行っており、2023年3月末時点では990号まで触読校正を終えた。サピエへのデータアップは、201号から325号までを完了した。 3 その他 1.読書バリアフリー法関連  読書バリアフリー法関係のアンケート「出版社からの書籍のデータ提供に関するアンケート調査」を実施し、報告書を会員施設・団体に共有した。 2.防災関連   災害担当メーリングリストを活用して、各地の地震・大雪等の災害状況を共有した。 X 専門委員会 1 サービス委員会  2022年度は諸事情により、委員長代行を立てて業務を進めた。内容に応じて、各会議、理事会等へ出席し、問題解決に尽力した。また、新ホームページ構築への委員としての協力、全視情協大会全体会では、点訳委員会と共催、アンケートの結果報告を担当した。サピエのデイジー図書の書誌に関して、録音委員会と横断的な打ち合わせを持った。  プロジェクトの活動は、TRCマークTタイプの書誌入力時の注意点の周知や、2019年度末に取りまとめた「著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」の周知、新任管理者研修講師(著作権等)、点字・録音雑誌一覧更新作業を行った。  その他、サピエ事務局・全視情協事務局に寄せられた質問への回答を行った。  プロジェクトは以下のとおり。 @ 目録入力プロジェクト A 著作権プロジェクト B 点字・録音雑誌一覧製作プロジェクト 2 点訳委員会  全視情協大会でサービス委員会と共に全体会2を担当し、「視覚障害者が必要とする情報をいかに届けるか〜点字文化の価値を改めて考える〜」と題し、シンポジウム形式で進行し、その報告書を製作したほか、これに先立ち、「点字図書・点字資料利用拡大のための工夫」について、会員施設・団体を対象にアンケート調査を行った。  『点訳のてびき第4版』関連資料発行に向けての作業を進め、『改訂版 点訳問題集1』を完成させた。加えて、「サピエ図書館」に点字データの登録を希望する施設・団体の審査を行う際の点訳課題・校正課題の見直しを行った。  全視情協ホームページ掲示板で会員施設・団体の点字担当者の課題の共有・情報交換を行ったほか、点字担当者のメルマガ「点字情報便」を通じて情報提供に努めた。  プロジェクトは以下のとおり。  @資料類整備プロジェクト  A「サピエ図書館」点字データ登録団体資格審査プロジェクト  B点字担当職員メルマガ「点字情報便」編集プロジェクト  C点訳ナビゲータープロジェクト 3 録音委員会  「音訳奉仕員養成講習会カリキュラム 基礎課程編」に即したテキスト『音訳ボランティア養成講習会テキスト ―基礎課程編―』を発行した。また、『「サピエ図書館」登録音声デイジーデータ製作基準』の改訂を行い、全国大会時の録音研修会で各製作施設・団体等に説明を行った。昨年度に引き続き、日盲社協情報サービス部会と連携して、各ブロックでの「音訳指導員養成講習会」に助言・支援を行うとともに、第16回音訳指導員認定試験を実施した。また、「シネマ・デイジー製作館情報交換会、およびスキルアップ講習会」の開催や「サピエ図書館」に登録されている既存の音声デイジーデータの審査などを行った。  今年度は、すべての会議をオンラインで開催した。  プロジェクトは、以下のとおり。 @「サピエ図書館」音声デイジーコンテンツ製作検討プロジェクト A 音訳指導員養成プロジェクト B「サピエ図書館」登録音声デイジーデータ審査プロジェクト C 音訳ボランティア養成講習会テキスト編纂プロジェクト D シネマ・デイジープロジェクト 4 電子書籍委員会  「サピエ図書館」登録テキストデイジーデータのピックアップ審査、サピエ図書館へのテキストデイジーデータ、マルチメディアデイジーデータ新規登録希望施設の審査を行った。また、2年以上テキストデイジー、マルチメディアデイジーのアップロードを行っていない施設等へ再審査勧告文を送付し、申込施設を対象に再審査を行った。また全視情協大会にて分科会を企画・運営した。また「サピエ図書館登録テキストデイジー製作手順書」を作成し、公開した。  プロジェクトは以下のとおり。   @テキストデイジー・マルチメディアデイジーデータ審査プロジェクト Y 関係団体との協力・連携  視覚障害者の情報等の問題に取り組むため、以下の組織・団体と連携して事業及び情報交換を行うとともに、必要に応じて委員を派遣した。  (1) 日本盲人福祉委員会  (2) 日本視覚障害者団体連合  (3) 日本盲人社会福祉施設協議会  (4) 同上 情報サービス部会  (5) 同上 点字出版部会  (6) 国立国会図書館  (7) 日本図書館協会  (8) 日本点字委員会  (9) 障害者放送協議会  (10) 日本デイジーコンソーシアム  (11) 日本文藝家協会  (12) 視覚障害リハビリテーション協会  (13) 全国盲学校長会  (14) 全国聴覚障害者情報提供施設協議会  (15) ABSC(アクセシブル・ブックス・サポートセンター)準備会  (16) 学校図書館等における読書バリアフリーコンソーシアム Z その他 1 会員数  新規入会なし、退会1施設。  2023年3月末現在の会員数は、100施設・団体。 2 書籍等の発行、販売  点訳・音訳ボランティア向けのマニュアル本、視覚障害者福祉に関する啓発書籍等を発行し、本会製作のCD郵送ケースとともに販売した。  学校等への啓発に活用いただくため、廃刊した『点字一覧表』を会員施設・団体に寄贈した。  2022年度新刊:  ・『音訳ボランティア養成講習会テキスト 基礎課程編』  2022年度絶版:  ・『音訳テキスト 音訳入門編』  ・『視覚障害者ICTサポートガイドブック』  ・『著作権マニュアル2008 新版−見えない・見えにくい人への情報提供サービス−』  ・『著作権マニュアル2008 新版 別冊』  ・『点字一覧表』  取扱書籍等は以下のとおり(販売価格は2023年3月現在、書籍は税込み額)。 ●点訳関連書籍    点訳のてびき第4版 1,540円    点訳のてびき第3版Q&A 1,100円    点訳のてびき第3版Q&A 第2集 1,100円    点訳のてびき第3版指導者ハンドブック「第2章 語の書き表し方」編 550円    点訳のてびき第3版指導者ハンドブック「第3章 分かち書き」編 550円    点訳のてびき第3版指導者ハンドブック「第4章 記号類の書き方」編 770円    初めての点訳第3版 770円    初めての点訳第3版指導者用マニュアル 1,760円    G-10とマナブくんの点字教室 660円    指で読む文字−初めての点字 DVD版 3,300円 ●音訳関連書籍    音訳マニュアル 音訳・調査編 改訂版 838円    音訳マニュアル 処理事例集 628円    音訳マニュアル デジタル録音編 628円    音訳テキスト デイジー編集入門編 880円    音訳ボランティア養成講習会テキスト 基礎課程編 1,210円    初めての音訳 第2版 660円 ●ガイドヘルプ関連書籍    初めてのガイド 660円    初めてのガイド DVD版(バリアフリー対応) 3,300円 ●CD郵送ケース    会員向け 270円(税別)  一般向け 330円(税別) 3 Webサイトの運営 (1) 全視情協ホームページ https://www.naiiv.net/ (2) 視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」 https://www.sapie.or.jp/ (3) 「ひとりで学べるたのしい点字」 https://www.tenji-naiiv.net/ (4)「点訳ナビゲーター」 https://ten-navi.naiiv.net/